- 安全停止ってなんでするの?
- 5mピッタリでないとダメなの?
- 3分以上した方がいいんじゃない?
ダイビングで安全停止をするけど、なぜするのかよく知らないという人も多いと思います。
僕も「するのが当たり前!」と思っていたので、本当のする必要性を色々と調べました。
この記事では安全停止の誕生、本当の目的、やり方のコツまでをわかりやすく解説していきます。
実際に、18年間のインストラクター経験とゲストの疑問を参考にして
- 中立な立場で
- 知識と実践の経験を生かした
- 本当にいいと思うこと
を紹介しています。
大切なことは安全停止の本当の目的を知ることです。
安全停止を理解したい人は読んでみてね!
安全停止の本当の目的を知るだけで安全性が向上し、コツがわかれば自信もつきますよ。
たくさんの相談を個々に合った方法で回答してきました!
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ブログ管理人の
モンツキくん
著者
藤田 勝弘
- 長年の経験で得たダイビングの知識を多くの人に伝えるために開設
- ダイビング未経験の初心者が楽しみながら100本で「できるダイバーになる!」を体系的に学べるブログ
- 中立的で誰よりもわかりやすい解説を目標にしている
「モンツキくんの詳しいプロフィール」も紹介しています。
36才で会社を辞めて東京から沖縄に移住しました。初めてのダイビングでライセンスを取得してから、不安ながらも仕事として決意!試行錯誤の日々を過ごし、18年のダイビングインストラクター経験をもとに「小さなダイビングショップ」で海を案内しています!
安全停止の「水深と時間」覚えてる?
安全停止は水深5mで3分間じゃないの?
安全停止とはダイビング終了後、水面へ浮上する前に水深3m~6mの間で3分間停止することです。
その効果をダイブコンピュータで見てみましょう。
安全停止では体に溶け込んだ窒素を排出することで、減圧症リスクを軽減するとよく言われます。
でも「本当にそれだけの知識でいいのか?」を考えていきましょう!
安全停止は5mピッタリに停止しなくても大丈夫ですよ。
安全停止と減圧停止の違いってなに?
減圧停止っ聞くけど、なにが違うの~?
一番の違いは最大潜水時間を超えたかどうかです。
安全停止:最大潜水時間を超えなくても、安全のために行う
減圧停止:最大潜水時間を超えたため、必ずある水深(3~5m)で停止を行う
最大潜水時間(MDT)は各水深で減圧停止をしなくていい最大の潜水時間になります。英語では「Maximum Dive Time」と言います。
無減圧潜水時間(NDL)が0分になると、減圧停止が必要になります。
ダイブテーブルの最大潜水時間
水深 | 最大潜水時間 |
12m | 130分 |
18m | 50分 |
30m | 20分 |
40m | 8分 |
(NAUIのダイブテーブルを参照)
水深で最大潜水時間がかなり違うのがわかります。
PADIダイブテーブルを開発したレイモンド・ロジャース博士などは
「3分の安全停止=水深24mで減圧潜水を5分したときの減圧停止は同じ効果がある」と言われています。
安全停止は自主的な減圧停止と変わらない行為と言えます。
現在では、すべてのダイビングで安全停止をするべきと強く推奨されているため、安全停止は自主的な減圧停止と行為は変わらないですよね!
安全停止と減圧停止は行為が同じなので、違いがわかりにくいですよね!
目的は浮上スピードを遅らせること
安全停止はしないといけないの?
1960年にアメリカの軍事潜水から「楽しむ」目的でレクリエーションダイビングが誕生しました。
- 水深40mまでのダイビング
- 直接浮上することができる環境
- 減圧停止をしない無減圧ダイビング
レクリエーションダイビングでは浮上の途中で停止する必要はありませんでした。
ただ、ゆっくりとした浮上は窒素が排出されて減圧症リスクを軽減するとわかってから、「止まった方がいい=安全停止」として安全停止をするように変わってきました。
安全停止の目的はあくまで浮上スピードを遅らせることです。
歴史から安全停止の誕生を探る
安全停止はいつ頃から始まったの?
私も2005年のライセンス講習で、安全停止をすべきと習いました。
安全停止をもっと理解したいと調べた結果、「ocean+α」のやどかり仙人さんの記事がわかりやすくとても参考になりました。
■ダイビングの歴史と安全停止について
1960年代 レクリエーションダイビングの誕生(1960年にNAUI、1966年にPADIができる)
1960年終わり頃 サイレントバブルを発見
(サイレントバブルとは無減圧ダイビングでも体に窒素の気泡ができること。昔は「気泡=減圧症」と信じられていたので衝撃だった。)
1970年代 日本にもレクリエーションダイビングの到来
1975年頃 安全停止の実験(3mに2分停止でサイレントバブルが1/5に減少)し、安全停止を提唱
1990年代 ダイバー人口と減圧症の増加で「ゆっくりの浮上」を学者が提唱
1990年代 指導団体もSAFE(Slow Ascent From Every Dive=すべてのダイブでゆっくり浮上)を提唱
その後、Precautionaly Stop (予防停止)として提唱される
そして、ダイビング指導団体が「安全停止」と名付けて推奨する
ゆっくり浮上(18m/分→9m/分)はスキルが難しく、浮上全体で考えると「止まった方がスピードを遅らせる」ということから「止まった方がいい=安全停止」という考えになってきた。
安全停止はいつだれが決めたという明確な資料はなく、1990年代から「安全停止」は指導団体で推奨されています。
安全停止を推奨する理由を考える
安全停止をいろんな視点で考えてみました。
安全停止は混乱しないために統一された
安全停止のルーツはなんだっけ?
安全停止の始まりは「ゆっくりと浮上するなら止まった方がいい」です。
昔は「浅瀬の3~6mで3~5分止まればいい」
↓
現在「水深5mで3分間の停止」に統一
変化した経緯は、あいまいな数値で混乱しないことが一番だったようです。
水深5mの理由
- 体の窒素を排出する効率がいい
- 水深3mより浮力コントロールしやすい
時間が3分の理由
- 体の窒素の排出は最初が最も速く、徐々に遅くなっていくことが判明
- 10分してもあまり効果がなく、3分で十分効果がある
安全停止で混乱しないように水深5mと決めたけど、ピッタリでないとダメってことではないよ!
安全停止のメリット・デメリットを考える
安全停止のメリットはなにがある?
安全停止のメリットは停止という行為で確実にリスクを軽減できることです。
スキルは、ゆっくり浮上(9m/分)のスキルはいらないけど、ホバリングスキルが必要にもなってきます。
また、ダイブコンピュータの装備は必須ですが、費用が増えたり、ダイブコンピュータの選び方で悩むは確かです。
こちらの記事は「失敗しないダイブコンピュータの選び方」を知りたい人に最適!
安全停止にはデメリットもありますが、最も優先すべきは「リスクの軽減」です。
特に、安全停止は浅くて長いダイビングではあまり効果はないですが、水深20m以上のダイビングでは効果があると言われています。
ダイビングを楽しむためには「リスクを軽減すること」が大切ですよね!
減圧症リスクをきちんと理解する
減圧症ってよくわからないだよね~!
減圧症を深く理解するために調べた結果、「ocean+α」の今村 昭彦氏の記事がわかりやすくとても参考になりました。
減圧症とは、ダイビングで体に溜まっていく窒素が急浮上の激しい変化などで気泡化すること。体の様々な組織(血液、脊髄、脳、肺、脂肪、骨、関節など)に損傷を与えたり、血管を塞ぐことで発症します。
体内へ窒素の溶け込み方は体の部分によって違いがあり、一般的に「速い組織」と「遅い組織」に分けられます。
■体内へ窒素の吸排出「速い組織」と「遅い組織」
速い組織 | 遅い組織 |
血液 | 骨 |
脊髄 | 関節 |
脳 | じん帯 |
筋肉 | 脂肪 |
臓器 | 骨髄 |
レクリエーションダイビングは20m以上の深いダイビングも多く、体内への窒素の吸排出が「速い組織」に蓄積しやすい傾向にあります。
その結果、減圧症(タイプⅡ)が約70%を占めることになりました。
その逆に、レクリエーションダイビング以外の一定の深さに潜る作業潜水などでは、「遅い組織」に起伏する減圧症(タイプⅠ)の割合が多くなります。
減圧症(タイプⅠ)
- 関節や筋肉に違和感、皮膚に赤い発疹の症状
- 窒素の吸排出が「遅い組織」に起伏する
減圧症(タイプⅡ)
- 中枢神経に障害、めまい、呼吸困難など重篤な症状
- 窒素の吸排出が「速い組織」に起伏する
リクリエーションダイビングは、浮上が速すぎると窒素の排出が追いつかずに減圧症(タイプⅡ)になるリスクが高まると言われています。
深い場所からゆっくりと浮上するスキルは難しいため、ブレーキをかける意味で停止をする安全停止が重要となってきます。
減圧症を知ると、窒素の蓄積と急浮上がリスクになるってわかるね!
安全停止をするコツを3つ紹介
安全停止のコツを教えて~!
安全停止をしているつもりでも、ダイブコンピュータのカウントダウンが一時停止しているのに気づかず、3分以上停止している人はいませんか?
安全停止をするコツは「ホバリングスキルを身につける」とか「ロープを持てばスキルは不要」という話ではなく、知識を増やして安全停止が上手くなるコツを紹介します。
- ダイブコンピュータの安全停止を知る
- 安全停止する水深は5mでなくてもいい
- 視線はダイブコンピュータではなく目印
ダイブコンピュータの安全停止を知る
多くのダイバーはダイブコンピュータを使って安全停止をしていますが、「ダイブコンピュータの安全停止」の設定を知っていますか?
ダイブコンピュータの安全停止って、勝手になるからよく知らない~!
- 水深10m以上潜らないと安全停止は起動しない
- 水深6mまで浮上するとカウントダウンが始まる
- 水深1.6~6m間でカウントダウンする
- 水深6.1m以上深くなるとカウントダウンは一時停止する
- カウントダウンが終わると通常の表示に戻る
■水深とカウントダウン設定のまとめ
水深(m) | カウントダウン |
~1.5 | やり直し |
1.6~6.0 | 動作中 |
6.1~9.9 | 一時停止中 |
10.0~ | やり直し |
(TUSA IQ1204のダイブコンピュータを参考)
*メーカーによって多少の違いはありますが、基本的にはほぼ同じ設定です。
ダイブコンピュータの設定を知らないと、安全停止できていなくて、他のダイバーを待たしてしまうこともあります。
- 知らぬ間に水深6.1m以上深くなって、カウントダウンが一時停止している
- 通常の表示になっていると、カウントダウンが終わっているかわからない
安全停止中に深く沈まないように意識したり、カウントダウン終了後はどう表示するかなど、安全停止で注意することを知っていることが大切です。
ダイブコンピュータの設定を知っているだけで、安全停止は今よりも必ず上手くできるよ!
安全停止する水深は5mでなくてもいい
安全停止は「水深5mに3分間停止」とよく言われるので5mピッタリに停止しようと思っていませんか?
安全停止は5mでするんじゃないの~?
もともと、安全停止は「浅瀬の3~6mで3~5分止まればいい」とあいまいでしたが、混乱しないように統一しただけなので、水深3~6mであれば、5mピッタリでなくていいということです。
では、安全停止は何mでキープするのがいいでしょう?
安全停止では水深4.5mでキープするのが最適と言える
理論上でいうと、浮力コントロールしやすい5mでキープし続ければいいですが、浮力コントロールをしても当然1m前後の浮き沈みはあり、5mピッタリにい続けることは至難の業です。
水深4.5mは3~6mの中間で1.5mの浮き沈みまで安全停止の範囲になります。
ダイブコンピュータの安全停止設定から見ても
水深5m:1m以上沈むとカウントダウンが一時停止する
水深4.5m:1.5mの沈みまでカウントダウンをし続ける
ダイブコンピュータの安全停止設定上も浮き沈みに余裕ができるので最適と言えます。
水深4.5mと水深5mはたった50㎝の違いですが、1.5mまで浮き沈みしてもいいという安心感が安全停止を上手くするコツになります。
水深4.5mでキープすると、ダイブコンピュータのカウントダウンが一時停止になりにくいです!
視線はダイブコンピュータではなく目印
安全停止で水深5mキープを意識して、ずっとダイブコンピュータを見ていませんか?
安全停止はダイブコンピュータを見るんじゃないの?
安全停止はダイブコンピュータの水深を見るよりも、視線を広げて目印になるロープやサンゴを見る方が安定しやすくなります。
目印を見ながら安全停止をしていると、浮き沈みしていることがよくわかります。
- 少し沈んでいく→ゆっくりと息を吸う
- 浮きそうになる→ゆっくりと息を吐く
ホバリングのスキルも身についていきます。
こちらの記事は「ホバリングを上達するコツ」を知りたい人に最適!
ダイブコンピュータばかり見ているとガイドの指示も見落としてしまうので、カウントダウンの時間をたまに見るくらいがちょうどいいです。
体勢のバランスも取りやすく、視野も広がって安全停止が上手くできます。
4.5mで安全停止をすれば、浮き沈みの余裕は1.5mもあるので、目印を見てコントロールしましょう!
「なぜダイビングで安全停止をするの?」本当の目的を解説のまとめ
今回は「なぜダイビングで安全停止をするの?」本当の目的を解説というテーマを紹介しました。
- 安全停止の「水深と時間」覚えてる?
- 安全停止と減圧停止の違いってなに?
- 目的は浮上スピードを遅らせること
- 歴史から安全停止の誕生を探る
- 安全停止を推奨する理由を考える
- 安全停止をするコツを3つ紹介
以前は「安全停止をすればリスク軽減になる」と単に思っているだけでした。
安全停止を調べていくうちに、本当の目的や誕生の歴史も知ることができました。
きっと、単に安全停止をやるのと、理解してやるのでは「リスクを軽減する」という意味でも違ってくると思います。
大切なのは安全停止をする目的を知ってリスクに備えることです。
そのために、今回は安全停止の本当の目的というテーマをまとめました。
1人のインストラクターとして経験してきた知識を中立的な立場で誰よりもわかりやすく解説しています。
ダイビングで悩んだとき、迷ったときに、1つの参考として見てもらえるとうれしいです。
安全停止を理解するだけでも、安全性は必ず向上します。
ダイビングの始め方、スキルアップ、器材の買い方、楽しみ方を体系的に学べ、どこよりもわかりやすく解説しています。ぜひ一度読んでください!
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